相手の気持ちを想像するのが苦手でも。

 

グループホームサード八王子、世話人の鈴木です。

私は民間企業で4年半ほど営業職として働いた後、

昨年からサード八王子で勤務しています。

 

自閉症、重度の知的障害を抱えた利用者様と関わりはじめて、

もうすぐ1年半が経過しますが、

日々の関わりを通じて、自閉症や知的障がいを持った利用者様に対する

見え方が変わり始めてきた今日この頃です。

そんな私が今回取り上げたい話は、

「相手の気持ちを想像するのが苦手な人にしかない魅力」

についてです。

 

「相手の気持ちを想像して動ける」という美徳

 

「相手の気持ちを想像しなさい」

子供の頃から、何度も教えられていることです。

誰かを傷つけてしまったとき、

空気を読めない振る舞いをしてしまったときに、この言葉を耳にします。

世の中では、相手の気持ちを想像して動ける人は

「優しい」「配慮がある」「社会性がある」

等のポジティブなイメージを持たれやすく、

反対に相手の気持ちを想像できずに動く人は

「自己中心」「身勝手」「社会性がない」

とネガティブなイメージを抱かれてしまいがちです。

 

確かに、相手の気持ちを想像できずに行動してしまうと、

相手を困らせたり、周囲を振り回してしまうので、

協調性を重んじる日本社会では受け入れがたいかもしれません。

 

しかし、このグループホームの利用者様と日々向き合う中で、

「相手の気持ちを想像するのが苦手な人にしか出せない、魅力があるのではないか?」

と問いかけるようになりました。

 

「想像しすぎる」という迷路

 

私は、どちらかといえば相手の気持ちを過剰に想像してしまうタイプだと思っています。

• 「今、この人は楽しんでいるかな?」

• 「話しかけたいけど、一人のほうがいいかもしれない」

• 「ここで発言して空気を壊すくらいなら、黙っていよう」

• 「本当は伝えてあげた方がいいけど、これを言ったら傷つくかもしれないから言わないでおこう」

 

そんな風に、頭の中で何手も先を読もうとしてしまいます。

組織の雰囲気を大切にしているつもりが、

相手の気持ちを想像して動いているつもりが、

その場の空気を読もうとしすぎて空回りしてしまうこともあります。

 

相手の気持ちを想像しすぎるがあまり伝えるべきことを伝えず、

後になって、

「思っていたなら、早く言ってほしかった」

と言われることもありました。

 

相手を傷つけたくないと思うあまり、

嘘をついてしまうこともありました。

 

そうして本当は言うべき発言を控えたり、

思わぬ嘘をついてしまったりすると、

「あの人は一体何を考えているのかわからない」

と不信感を抱かれてしまうこともありました。

相手の気持ちを想像できるのは円滑なコミュニケーションをとるうえで大切なスキルですが、

想像しすぎると対人関係に軋轢が生まれることもあります。

 

想像力は、ときに自分自身を縛り、生きづらさの種にもなり得ると思います。

 

相手の気持ちを想像するのが苦手。でもまっすぐ生きている。

 

一方で、相手の気持ちを想像するのが苦手な人はどうでしょうか。

その場の空気に合わない、不用意な発言や行為によって、

相手を傷つけてしまうことがあるかもしれません。

 

でも、そこには「嘘偽りのなさ」があります。

 

自分の意見や要望を素直に伝えられるその姿は、

自分の中に一本の軸が通っている証拠です。

 

「あの人が言うんだから、きっと間違いない」

その真っ直ぐさは、

ときに周囲にとって「信頼」に繋がることもあるはずです。

 

まっすぐな利用者様だから、心から信頼できる。

 

サード八王子では、重度の知的障害、自閉症をお持ちの利用者様の生活を支える役割を担っています。

 

一般的に自閉症は「相手の気持ちを想像することが苦手」だと言われています。

確かに、日々利用者様と接していると、

相手の気持ちを想像して行動している様子はあまり見られません。

 

『本当はお茶飲みたいけど、鈴木さんは今忙しそうだから我慢しよう・・・』

なんてことを想像している様子はなく、

お茶が飲みたければ

「お茶!!!」

と廊下に響き渡る声で私に訴えかけてきます。

(もしかしたら、私の気持ちを汲み取ったうえでの発言かもしれません。)

 

 

現場がバタバタしているときに、利用者様からの要求がどんどん来ると

『もう少し我慢して待っていてほしいよ・・・』

と内心で思うことはあります・・・(苦笑)

でも、彼らはどこまでも正直で、真っ直ぐです。

 

だからこそ、利用者様が訴えかける要求は、

一切の疑いなく素直に受け取ることができます。

 

そうした利用者様のまっすぐな生き方を見ているうちに、

私の考えは少しずつ変わっていきました。

 

相手の気持ちを想像できる、できないに優劣はない。

 

決して、相手の気持ちを想像できる人が偉いわけでも、優れているわけでもありません。

 

「相手の気持ちを想像できる人=善」

「相手の気持ちを想像するのが苦手な人=悪」

という二元論ではなく、

もっとフラットに一人ひとりの個性を見つめていけるよう日々心掛けていきたいと思います。

 

最後に

 

所説ありますが、日本WHO協会によると自閉症の割合は127人に1人と言われています。

(出典:自閉症 | 公益社団法人 日本WHO協会

人口比1%に満たないわけですので、

日々生活を送っていて自閉症の方と、

いわゆる「相手の気持ちを想像するのが苦手な方」と

関わる機会は限られていると思います。

 

つまり、私たちは相手の気持ちを想像してコミュニケーションを取るのが

当たり前にならざるを得ない社会で生きていると言えます。

 

対して、私たちが働くサード八王子は、

相手の気持ちを想像するのが苦手な人とコミュニケーションを取るのが当たり前の環境です。

 

私にとってグループホームで働く時間は、

一般社会の構造から離れたときを過ごす時間であり、

こうした社会の常識、バイアスを外して世の中を観察できる貴重な機会だと感じています。

 

もし本記事を読んでくださっている方の中で、

「普段と違う世界を見てみたい」

「自分の当たり前や常識を疑ってみる機会が欲しい」

そうした好奇心がある方がいらっしゃいましたら、

ぜひ一度サード八王子まで一度見学に来てみてください。

人生の価値観が変わるきっかけが得られるかもしれません。

 

お気軽にお問い合わせください。