ABA(応用行動分析)とは
皆さま、こんにちは。
東京都八王子市にあります重度知的障害のある方を対象としたグループホーム、サード八王子の佐藤です。
今回はTEACCHプログラムと親和性が高いと言われているABA(応用行動分析)についてお話をしてみます。
ABAとは?
支援の考え方の枠組みとしてABA(応用行動分析)というものがあります。
おそらく、障害者支援、とりわけ療育に携わる支援者の方には馴染みがある考え方だと思います。
ABAの基本的な考え方は『行動』は『環境』との相互作用によって生じるといったものです。

人の行動には周囲の環境や事前状況、行動がもたらした結果が深く関係しています。
例えば…
クラスメイトがいる教室に入る場面 ⇒ 笑顔で挨拶をする ⇒ みんな笑顔で挨拶を返してくれる
このような出来事があったとします。
笑顔でのあいさつに対して良い反応をもらうと、おそらくたいていの人は「次も笑顔で挨拶しよう」と思うでしょう。
では、笑顔で挨拶をしたあとに「みんなから無視をされた」場合はどうでしょう。
おそらく、次も笑顔で挨拶をしようと思える人はあまりいないのではないでしょうか。
はたまた、教室に入るときに友達が誰一人いない場合には、そもそも笑顔で挨拶をすることはありません。
このように物事には事前状況(教室に入る)と行動(笑顔で挨拶をする)、結果(みんなが笑顔で挨拶を返してくれるor無視をされる)があって、事前状況と結果が人の行動には深く結びついているということになります。
この考え方を「ABC分析」と呼びます。
これがABAの初歩的な考え方です。
支援とどうつながる?
たいていの人の行動は「ABC分析」で解き明かすことができると考えられます。
知的障害者への支援の場合でも同様のことがいえます。
とりわけ、重度知的障害者の場合は言語を上手く扱うことができない方もいらっしゃるので、他者に意思を伝えることが困難なことがあります。
そういった場合、行動の前後関係から行動の要因を探っていくことで、その方が何をしたかったのか、何を目的とした行動だったのかを探ることができます。
では、具体的にはどういった場面で活用されるのでしょうか。

結果からアプローチする
よくあるケースとしては当人が「周囲からの注目を集めたい」「要求を通したい」などの理由からインパクトが強い行動を起こすことがあります。
床に寝転んでみたり、大声を出してみたり、周囲の物を投げてみたりなどです。
こういった行動をすると周囲の人たちはびっくりして大きなリアクションをするでしょうし、場合によっては行動を収めるために要求を受け入れることがあるのではないでしょうか。
そうすると当人は「インパクトが強い行動をする=自分の思い通りになった」というあまり適切とは言えない成功体験を積むことになります。
こういった視点で考えてみると、インパクトが強い行動に対して反射的に反応を示すことのリスクがあることがうかがえます。
ご本人に適切な学びを得てもらうためには、適切な行動に対して賞賛を送り正しい成功体験を積んでいただくことが重要になります。
例えば「床に寝転ぶ」「大声を出す」「周囲の物を投げる」といった方法の意思表現ではなく、「これはイヤだ」「こうしてほしい」等と適切な意思表現をした場合には、適切に表現をできたことに対して賞賛を送り誠実に対応するといったようなことです。

これは「結果」によって「行動」をコントロールするアプローチになります。
環境からアプローチする
別の角度からのアプローチとして事前の状況、環境をコントロールする方法があります。
例えば
「嫌なことがある」 ⇒ 「嫌なことを無くすために大声を出す」 ⇒ 「嫌なことがなくなった」
のような場面があったとします。
この場合での環境へのアプローチとして「そもそものいやなことを排除してしまう」という手があります。

きっかけがなくなれば当然行動も消失します。
つまり大声を上げることはなくなるわけです。
これが環境からのアプローチ方法です。
これらは例の1つであり、行動の捉え方や対応方法は様々です。
ABC分析を活用することにより、行動の要因やご本人の意向を理解していき、これを材料としてご本人にあった支援方法を検討していくことができます。
肯定的がポイント
適切な行動が増えれば不適切な行動は減っていきます。
古くからの障碍者支援や子どもへのしつけ方法として「不適切な行動には罰を与える」という考え方がありました。
現在では罰を与える方法はあまり効果的ではないといわれており、適切な行動をしたときに賞賛を与えることで適切な行動へのモチベーションを高める支援が効果的であると考えられています。
つまり、不適切な行動に着目するのではなく、適切な行動に着目してとにかく肯定的に接する。
これが適切な行動を増やすために支援者が持つべき視点であるといえます。

今回はABAの初歩的な考え方についてお伝えしてきました。
興味を持たれた方はYouTubeやネット記事等でも詳しく紹介されているのでぜひ調べてみてください。
サード八王子では今回ご紹介したABAのような知的障害者支援に有用である専門知識を基に、根拠がある支援の実践を目指しています。
どんな支援をしているのか気になった方はぜひ一度見学にいらしてみてくださいませ。
現場からは以上です。

