営業職から福祉職へ。数字に囚われない人生の歩み方

サード八王子の世話人、鈴木です。

開設当初から今日までの1年半、

私はこの場所でたくさんの温かい時間を過ごさせていただきましたが、

来月10月から、同法人の生活介護「笑」へ異動することになりました。

利用者様、保護者様、スタッフの皆さま。

私が関わってきた方々は、とっても温かくて素敵なお人柄で、

一緒に過ごせた日々に心から感謝しています。

一人ひとりとの忘れられない思い出を語り出したら長文になりすぎてしまうので、

ここでは一旦、そっと心の中にしまっておきます。(笑)


代わりにこのブログでは、私が障害福祉の現場で向き合ってきた葛藤と、

そこから得られた学びを書いてみました。

数字がすべてだった日々。営業職で問われた自身の存在価値

私はこれまで営業職として、4年半ほど勤務しておりました。

前職は、とにかく数字が問われる世界でしたので、

「どれだけ成果を積み上げられるか」を考え続けないと、

生き残れない環境でした。

営業職の私に課せられたミッションは、極めてシンプル。

「売上目標を達成すること」でした。

売上の目標を達成すれば、達成感が得られて楽しかったですし、

「鈴木さん、すごいじゃん!」

「さすがですね」

などと上司、同期から評価されるのも嬉しかったです。

売上目標という数字と日々向き合いながら、仕事を続けていくうちに、

「私の存在価値は、とにかく数字を出すこと」だと考えるようにもなりました。

しかし、対人業務である以上、

どんなに頑張っても目標達成できない場合があります。

目標達成できなかったときには、上司から

「どうして今月、達成できなかったの?」

「今の売上成績は、もらっている給料に見合っていると思う?」

と質問攻めに遭います。

振り返ると、当時は上司からの言葉にプレッシャーを感じることばかりでした。

福祉職への転職。数字で評価されない安堵 & 不安

そんな数字のプレッシャーから抜け出したいことも相まって、転職活動を始めました。

福祉職に挑戦してみようと思って、この法人に転職したとき、

数字で自分を評価されないことに、心から安堵しました。

売上目標を定められることも、

数字だけで私を評価する文化もありません。

数字のプレッシャーから解放されたことで、私の心は楽になりました。

残業時間も減り、プライベートの時間も増えて、

人生の幸福度は高まりました。

しかし、その安心と幸福感は、ほどなくして薄まっていきました。

自分の努力や成果が数字になって現れないことに、違和感を覚え始めました。

数字が見えたからこそ、頑張れることもあった。

良くも悪くも「数字」は、人のモチベーションに大きな影響を与えます。

例えば、ダイエットを始めるときには、現在の体重・体脂肪を測定し、

目標の数字を設定されると思います。

数字に変化が出ず、挫折しそうになることもありますが、

ダイエットを継続して、体重・体脂肪が減少していくと

「嬉しい!もっと頑張ろう!」と意気込み、モチベーションが向上していきます。

営業職の頃は、売上目標という数字があったからこそ、

目標をクリアできたときに達成感が得られて、楽しかったです。

しかし、今は数字を追いかけることがないため、

そうした数字目標を達成する喜びを得づらい環境です。

数字を追う日々から逃れたかったはずなのに、いざ数字から離れてみると

自分の努力や成果、自身の存在価値を測るモノサシを見失い、モヤモヤしていました。

これまで追いかけてきた営業売上に目を向けている限り、

このモヤモヤを解消することはできないと気づきました。

「顧客満足度」の視点で支援を考える

売上以外で、何か目に見える指標はないでしょうか。

そこで着目したのが「顧客満足度(NPS)」です。

口コミサイトに悪評が書かれれば、

簡単に会社の信用は下がり、倒産に追いやられる可能性もあるご時世ですので、

前職の会社でも、売上と同等に顧客満足度も評価指標としてみられていました。

「顧客満足度賞(ホスピタリティ賞)」という表彰制度も設けられていたため、

私は賞を獲得したいがために頑張っていた時期もありました。

その経験を踏まえて、私は売上ではなく

「顧客満足度の視点を、そのままグループホームの支援に取り入れればよいのではないか・・・?」

と思いました。

そして、利用者様が笑顔で楽しく過ごせるような生活環境を提供することが、

このサード八王子で働く私の役割なのかなと思いました。

心から『満足』と言える生活とは?

利用者様の満足度を高めるために、何をすればよいのでしょうか。

営業職の頃は、顧客満足度を高めるためには、

「お客様の悩み、要望を理解し、即座に叶えることが重要」

だと教わってきました。

お客様の言うがままに、全て従うわけではありませんが

「お客様からの要望は、とにかく叶える!」

というスタンスで営業しておりました。

実際にお客様の要望を汲み取り、それを叶えることができれば

満足いただけておりました。

営業時代のスタンスを、そのままグループホームでも活かしていけるのではないかと考えました。

「利用者様の希望を全て叶えることができれば、満足度は高められる」

つまり、

「利用者様が好きなものを、好きなときに、好きなだけ味わえる生活を叶えること」

ができれば、心から満足してもらえるだろう!と思いました。

利用者様の要望をそのまま叶えることが正解とは限らない

しかし、実際に働いてみると、

私が思い描いた支援を叶えることは容易ではないと気づきました。

なぜなら、グループホームは多くの人が共に暮らす集団生活の場だからです。

集団で過ごす以上、そこには決められたルールがあり、

それを乱すことは、他の利用者様に不利益を与えることになりかねません。

例えば、

"アニメのDVDを観るのが好きな利用者様がいたとき、好きなときに、好きなだけ観ていただくのがよいか?"

という問題です。

その利用者にとっては、自由にDVDを観せてあげた方が満足されると思います。

ただ、その方には自閉症の特性の一つである

「切り替えの困難さ」

があります。

一度DVDを観始めたら、自分で止めることが中々できません。

好き放題に夜遅くまでずっと見続けてしまい、覚醒して眠れなくなってしまう恐れがあります。

朝になって眠くなっても、平日の日中は生活介護を利用されているため、

睡眠不足が日中の活動や体調に影響する恐れがあります。

さらに、深夜にDVDの音が聞こえていたら、他利用者様の睡眠まで妨げてしまいかねません。

結果的に、DVD好きな利用者様に限らず、他利用者様も不幸にしかねないため、

好きなものを理解していても、好きなだけ与えるのは良い支援とは言えないと思います。

ここが営業職と、現在の働き方とのギャップでした。

営業職の頃の私は、お客様が何を求めているのかを考え、

その期待に真っすぐ応えることが求められていました。

しかし、先ほどの例のようにグループホームは集団生活である以上、

利用者様の要求にそのまま応じることは

長期的にはご本人の健康や、他の利用者様の生活にも影響を及ぼす恐れがあります。

だからこそ、ご本人の希望を大切にしながら、安心して楽しめる時間や方法を一緒に考え、

分かりやすく伝える必要があります。

利用者様が「これをしたら喜ぶだろうな」と分かっていながら、

その通りにできないもどかしさを感じることもありました。

私に求められている役割とは

色々悩むことはありましたが、

利用者様の支援を通して、先輩の考え方を学ばせていただく中で、

たどり着いた答えがあります。

それは、

「一日を通して安心して穏やかに過ごしていただけることを、支援の土台として大切にしたい」

ということです。

集団生活の不自由さがある以上、

利用者様はサード八王子での生活よりも、

ご自宅でご家族と過ごせる生活の方が幸せだと感じているかもしれません。

実際に、休日にご家族との外出や外泊がある利用者様の中には、

前日からテンションが高くて、夜もなかなか眠れない方もいらっしゃいます。

そうした姿を見ていると、

「ご家族と過ごす時間を、とても楽しみにされているんだな」

なんて少し心寂しくなるときもあります。笑

しかし、私は利用者様の家族にはなれませんし、グループホームの環境はご自宅と大きく異なります。

利用者様が100%満足する環境を整えることは難しいと言わざるを得ません。

その前提を踏まえたうえで、私たち世話人にできることは

病気や怪我など不幸にさせることがないように、

「安心、安全な環境を整えること」です。

「安心、安全な環境を守る」支援は、難しくて面白い

サード八王子の利用者様は、皆さん重度の知的障がいをお持ちなので、

健康や衛生面の自己管理が困難です。

加えて、強度行動障がいをお持ちの方もいるため、

ときにパニックになると自傷行為、あるいは他害行為に及んでしまうケースもあります。

だからこそ、私たち世話人は、

全利用者様の安全面を確保することが一番大事です。

安全を守るために、職員たちで話し合いを重ねて、共通のルールを作っていくわけですが、

それを理解してもらうのは一筋縄ではいきません。

言葉ではうまく利用者様に伝わらないから、図や写真などの視覚的な手段で伝えてみますが、

それでも伝わらないことがあります。

その時は、図や写真のサイズを大きくしてみたり、文字と写真をセットにしてみたりする等、

様々な工夫を凝らして、利用者様にうまく伝わる方法を模索していきます。

こちらの意図が伝わった瞬間は、とても嬉しくて、

どこか心が通じ合えたような感覚になります。

全利用者様にとって安心、安全な環境を保つのは一見簡単なようにみえてしまうのですが、

実際にやってみると難しくて、奥が深いなと思います。

数字と向き合い、会社の売上目標の達成を目指す営業職、

利用者様と向き合い、利用者様の安定した生活を目指す福祉職、

それぞれの仕事に違った苦労とやりがいがあると実感しています。

さいごに

サード八王子の利用者様も、保護者様も、

そして職員の仲間たちも、皆さまとても温かくて素敵な方々ばかりです。

ここで働くことができたご縁を心から嬉しく思います。

もし新たなお仕事を探されている方の中で、

・人とじっくり向き合い、個に応じた支援を追求していきたい

・温かい人間関係の中で、職員と話し合いながら支援を考えていきたい

こうした想いをお持ちの方は、ぜひ一度サード八王子までお越しください。

採用情報 | 社会福祉法人SHIP

SHIPでは、「福祉の仕事は年収が低い」といったイメージを払拭したいと考え、事業の手法を用いて地域の社会問題の解決を図りつつ、従事者満足や待遇面の向上を目指してい…

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