「現場監督から世話人へ」

こんにちは。
グループホーム「サード八王子」で世話人をしている里見です。
サード八王子は、2025年5月に開設したばかりの新しい障害者グループホームです。
入居対象は、障害支援区分5もしくは6の重度知的障害のある方で、自閉スペクトラム症の方が多く暮らしています。
支援では、TEACCHプログラムをもとに、構造化を重視したアプローチをとっています。また、ABA(応用行動分析)を支援の根拠とし、
日々の暮らしの中で「できることが増える」「落ち着いて過ごせる」ための環境づくりをチームで行っています。
このブログが、サード八王子での初めての投稿になりますので、まずは少し自己紹介をさせてください。
自己紹介
大学では土木工学を学び、卒業後は道路や橋、トンネルといったインフラ工事の現場で、いわゆる“現場監督”(土木施工管理技士)として働いていました。安全、工程、品質。そのすべてを「管理」することが仕事でした。
その後、転職して高齢者介護の世界へ。介護福祉士、そしてケアマネジャーとして、施設や在宅での支援に関わりました。
ここで初めて「人の暮らしを支える」という仕事の奥深さに気づいたように思います。
そして3年前、社会福祉法人SHIPに入職し、障害福祉の現場へ。「グループホーム友」で経験を積み、2025年5月、ここサード八王子の立ち上げに関わらせていただいています。
建設業と福祉(高齢・障害)、まったく違う世界を渡ってきたわけですが、異業種だったからこそ、活きている経験がたくさんあります。
今日は、そんな話をさせてください。
建設現場で学んだ「3M」の考え方

建設現場では、よく「3M」をなくせ、と言われました。
ムリ(無理):人手不足なのに工程を詰め込むなど、現場に無理をさせること。
ムラ(斑):作業手順や品質にバラつきがあること。
ムダ(無駄):必要のない作業や手戻りなど、生産性を下げること。
この「3ム」をなくすことで、安全で効率的な現場が保たれるんですね。
なので建設現場では、この3Mを徹底的に排除することを叩き込まれました。
自閉症支援における「ムリ・ムラ・ムダ」
グループホームの世話人の仕事は、『管理』することではありません。
けれど、福祉の現場では「管理」だけではうまくいきません。相手は“人間”だからこそ、一人ひとりの違いがあるのです。
特に自閉症支援の現場では、実はこの「3M」がとても大事だと気づきました。
たとえば――
■ムリ(無理のある支援)
「今日はできたけど明日はできない」ような行動や、「できると思って組んだ支援」が、実は難易度が高すぎる…そんなとき、本人はとても困ります。
「やる・やらない」が本人の意思ではなく、環境や職員の判断に依存してしまう支援は、予測が難しく、ストレスになってしまいます。
■ムラ(ばらつきのある支援)
「昨日は靴を自分で履いたのに、今日は履かせてもらえる」
支援のやり方が職員ごとに違っていたり、場面によって変わってしまうと、本人はどれが正しいのか分からなくなってしまいます。
サード八王子では、「支援の一貫性」=チームで支援を揃えることを大切にしています。
■ムダ(意味のない支援)
「一度覚えたから今もやっている」
「本当は必要ないけれど、なんとなく続けている」
よかれと思って続けていた支援が、実はもう必要なかった――そんなこともあります。支援の振り返りをせず、形だけを残してしまうと、それは「ムダな支援」になってしまいます。本人の成長や状況に応じて、必要な支援だけを選び取っていく必要があります。
支援の本質は「管理」ではなく「環境を整えること」
建設現場では「管理」がキーワードでした。工程、品質、安全、人の動きすべてを“管理”して成り立つ世界です。
でも、福祉の現場では「管理」はうまく機能しません。人間同士だから当然です。でもその代わりに、「環境を整える」ことで、ご本人が“自分で動ける”ようになる。ここが、障害福祉そして自閉症支援の面白くてやりがいのあるところだと私は思っています。
SHIPには異業種からの転職者がたくさん
私自身がそうでしたが、最初は「障害福祉って自分にできるのかな」と不安がありました。でも、SHIPにはしっかりした研修制度があり、先輩も丁寧に教えてくれます。実際、サード八王子でも、異業種から転職してきた仲間が多く活躍しています。
「人と接するのが好き」「困っている人の役に立ちたい」という気持ちさえあれば、前職の経験は必ず福祉の現場に活きてきます。
「福祉って難しそう」と思うあなたへ
「福祉って難しそう…経験もないし…」
そんな方にこそ、ぜひ一度、SHIPの扉を叩いてみてほしいです。
私は、かつて現場で「効率化」を追い求めていた人間です。
そんな「現場監督」だって支援者になれるんですから、きっとあなたにもできると思います。

現場監督の主な仕事は、「品質管理・安全管理・工程管理」の3本柱です。
これを福祉の現場、特にグループホームの世話人業務に置き換えると、こんなふうに捉えることができます。
現場の品質管理→支援の質の管理
現場の安全管理→生活の安心・安全の確保
現場の工程管理→日課や生活リズムの管理
このように、現場監督の仕事の考え方や視点は、福祉の現場でも活かせるんです。
これから福祉の世界を目指す方や、ご家族をグループホームに預けたいと考えている皆さんにとって、サード八王子が「安心できる場所」になれるよう、これからも丁寧な支援を続けていきます。
そしてもし、このブログを読んで「ちょっと福祉やってみようかな」と思った方がいたら、
ーーよかったら、サード八王子で一緒に働いてみませんか?
