感覚探求は身を助く【障がい者グループホームで学ぶセルフケア】

こんにちは!

東京都の障害者グループホーム、サード八王子で世話人をしている国府です

今年10月に同じSHIPの他事業所から異動をしてきました

簡単に自己紹介をしますね

  

私は臨床心理士・公認心理師の資格を持っていて、

これまでは主に家庭相談、養育相談などの仕事をしている時間が長かったです

なので、0歳~18歳のお子さんの家庭内での過ごし方、

保護者の方、学校の先生方のお子さんへのかかわり方の相談、

発達相談センターや児童相談所との連携、

そしてお子さんご本人との面接などをやっていました

 

そのほかにも、地域の保健所や大学の学生相談、

東京都のLINE相談の中の人などいろいろです

 

今日はサード八王子の利用者様から学んで自分自身のケアに役立っていることがあったので、

共有させてください🌟

 

感覚探求

サード八王子には知的障害・自閉スペクトラム症をお持ちの方々が入居されています

グループホームは名前のとおり、“ホーム=おうち”です

 

皆さん、それぞれの方法でリラックスする時間も取り入れながら過ごされています

たとえば、くるくる回せるおもちゃを回したり、プッシュポップを押したり戻したり、

小さいステンレスの部品を爪で鳴らしたり、棒状のものでなにかを叩いたり、

特定の曲やCMのフレーズを繰り返し聴いたり歌ったり…

 

当然ですが、一人ひとりお好きな感覚や過ごしかたが異なります

 

自閉スペクトラム症の方は脳の仕組みにより特定の感覚に過敏/鈍麻があり、

大きな音が苦手だったり暑さ・寒さを感じにくいことは

ご存じの方もいらっしゃるかもしれません

 

そういった独自の感覚があるなかで、

「感覚探求」と呼ばれる行動があるそうです(私も勉強中です)

どちらかというと感覚鈍麻に分類されるらしいですが、

特定の感覚に繰り返し触れることで安心やリラックスにつながることもあるとのこと

 

時には手足の皮膚を過度にむしってしまうなど怪我につながる行動に

エスカレートしてしまう場合もあるため、集中できたり、楽しめたりする遊びや

課題に取り組んでいただけるように試行錯誤しながら支援を行っています

やめたい「クセ」

先ほど「手足の皮膚をむしってしまう」と書きましたが、

実は私にも手足の皮膚をむしる癖があります(眉毛やまつ毛の抜毛も🙈)

 

この癖、精神科領域では「皮膚むしり症」と呼ばれています

(診断には様々な条件があり、不安やストレスなどに伴う行動の場合は

また違う治療アプローチが必要になるようです)

 

私が皮膚むしり症かどうかは別として、とりあえず手足がボロボロになると生活に支障がでます

水仕事は痛いし、洗濯物とか乾いた布をたくさん触ってもカサカサになってくる、

とにかく見た目がよくないので目に入るたびに「またやっちゃった…」と落ち込んでしまいます

 

なんとかしたいけど、今すぐ自分でできることって何があるかなぁ…

といろいろ考えてみた結果、サード八王子の皆さんが行っている

感覚探求の行動を試してみることにしました

 

自分はなにが好き?

まずは自分が好きな感覚や、皮膚をむしったり抜毛する以外についやっている癖を考えてみました

 

ふわふわ(フリースはかさつきがひっかかるのでダメ)、

適度な重み、ブランコ、カチカチ(ボールペンのノックやキーボード)、

タオルの角を触る・折る…

 

皮膚をむしる癖は仕事中にもよく出るので、↑のうち、持ち歩けるもの、

仕事中でも業務に支障が少ないものに絞って考えてみました

(※利用者様を直接支援する際は安全確保のため身に着けておりません)

 

それがこれです!

 

①のぬいぐるみは触り心地と手のひらにおさまるサイズ、

そして愛着を感じる姿で選びました

(足が細い紐でつながっているので、プラプラさせるのがいいです笑)

研修動画の視聴中や通勤中のふとした時間に持ったり、

毛並みをなでたり、中にビーズが入っているのでにぎにぎしています

 

②のスイッチのおもちゃはカチカチさせるのが好きなのでハマるかもと思い買ってみました

ギャラクシー柄なのは気にしないでください🌚笑

ボールペンくらいの音なので電車やバスなど密室でもあまり気になりませんし、

本当に小さくてポケットに入れておけるので便利です

 

 

←実は裏側には大きなスイッチがあったり、ぐるぐる回せるところや突起が付いているところもあり、いろいろな遊びができます(私は裏側にある、電気のスイッチみたいな大きいやつが好きです)

 

 

③の指輪は、感覚探求グッズを探していて偶然見つけました

小さなビーズみたいなものが付いていて、

指輪に沿ってぐるぐると動かせるようになっているので、

ビーズを行ったり来たりさせて遊ぶことができます

病院の待合いなど、静かに過ごさないといけないときに

こっそりビーズを動かすことができ、気持ちが落ち着いてくるのですごく便利です

 

こういう動かせるものが付いている指輪は、

Anxiety Ringやストレス解消リングみたいな名称が付いているみたいで、

とてもたくさんの種類がありました💍

 

効果抜群!

使い始めてすぐですが、皮膚をむしる頻度は少し減った気がします!

皮膚をむしりたいと思ってしまうとき以外にも、

なんとなく落ち着かない、そわそわする、ドキドキするときなど、

状況に応じて触れるものを使っています

ちょっとした電車の待ち時間なんかについスマホを触ってしまうのが減ったのも、

予期せぬ効果でした👍

 

この先もずっと同じグッズで効果があるかわかりませんし、もちろん万能ではありません

今でも無意識にカサカサしたところをむしろうとしていることもあります

 

でも“よりよい行動をするために、他に集中できることをする/集中できるモノを持つ”

というのは変わらずに意識できるとよさそうだなと思いました

 

好きな感覚で自分を助けられる

どうですか、感覚探求グッズ

これを読んでいる皆さんも試してみたくなってますよね?

そうに違いありません笑

 

感覚探求グッズを購入するにあたって調べてみたところ、

大人向けのものの多さにビックリしました

興味のある方はぜひ調べてみてくださいね

 

専用のグッズを使わずとも、ついやっている何気ない癖って皆さんありますよね

「このキーボードのクリックが最高すぎて仕事はかどる~」とか

「トリートメント詰め替え用をモミモミしながら詰め替えるの好きだなぁ」とか

「ビニール袋でキシキシさせたいから鶏肉に片栗粉まぶしがち」みたいに

すでにある環境の中で好きな感覚を探すのもおもしろそうです

 

自閉スペクトラム症と診断されていてもそうでなくても、

自分が安心する、気持ちいいと感じる感覚を探ってみること、試してみることで

もっと自分のことを知ることができるし、もしやめたい癖があれば、

それから抜け出す助けになりそうです

 

この経験は、利用者様の感じている世界にほんの少し近づけた気がして、うれしい出来事でした😌

皆さまの暮らしから大切なことを教えていただけたなと感じています

 

👯サード八王子では一緒に働く職員を募集しています👯

随時見学も可能ですので、希望の方はご一報ください

お気軽にお問い合わせください。