自閉症の人の余暇支援について
~サード八王子の支援のかたち~
こんにちは。東京八王子市の重度知的障がい者向けグループホーム「サード八王子」の里見です。 2026年もよろしくお願いします。
皆様、休日は何をして過ごしていますか?
先日、私は妻と愛犬と一緒にキャンプに行きました。
壮大な富士山を前に焚火を囲み、「何もしない」時間をゆっくり味わうことができました。
予定も詰め込まず、ただ炎を見つめたり、ぼーっと星空を眺めたりする――。
オジサンにとって、そんな「何もしない贅沢な時間」は、 心と体をリフレッシュしてくれる大切なひとときになります。

一方で、同じ「何もしない自由な時間」が、
自閉スペクトラム症(以下、自閉症)のある人にとっては、むしろ苦手な時間になることがあります。
サード八王子の利用者様も、土日祝日は日中の生活介護がお休みになるため、 それぞれのスタイルで自由時間(余暇活動)を過ごされています。
しかし、サード八王子の利用者様の多くは自閉症の特性をお持ちであり、 この「自由時間」が必ずしも心地よい時間とは限りません。
現場では、こんな声もよく耳にします。
- 「余暇なんだから、本人の自由でいいんじゃない?」
- 「余暇まで支援って、ちょっと管理しすぎじゃない?」
この気持ちは、とてもよく分かりますし、優しさから出てくる言葉だと思います。
ただ、自閉症のある人にとっての「余暇」を見ていると、
“自由だからこそ” 支援が必要になる場面も少なくありません。
そこで今回は、「余暇支援」について、少し整理してお伝えしたいと思います。
1次活動・2次活動・3次活動で見た「余暇」

政府の「社会生活基本調査」では、
私たちの1日の時間を次の3つに分けて考えています。
- 1次活動:睡眠・食事・身の回りの用事など、生活の基本となる時間
- 2次活動:仕事・通学・家事・育児・介護・買い物など、生活を回すための時間
- 3次活動:それ以外の “自由に過ごせる時間” = 余暇
つまり、式で表すとこうなります。
余暇時間 = 24時間 − 生活の基本活動(1次活動) − 仕事や家事(2次活動)
この「3次活動=余暇」の中で、私たちは休養や楽しみ、気分転換、自己表現などを行い、
本人が安心して「自分らしく過ごす」ための大切な時間を作っています。
では、サード八王子の余暇時間は、1日にどのくらいあるのでしょうか。

モデルケースで考えると、おおよそ次のようなイメージです。
- 平日:3次活動(余暇)…約4時間
- 土日祝日:3次活動(余暇)…約10時間
もちろん、生活リズムや活動量は利用者さまによって異なりますが、
特に土日祝日は、「どう過ごすか」を考える必要があることが伝わるかと思います。
なぜ「自由時間」が苦手になりやすいのか

では、なぜ自閉症のある人にとって、余暇の時間がしんどくなりやすいのでしょうか。
ポイントは、「曖昧さ」と「見通しのなさ」です。
自由時間には、こんな特徴があります。
- 何をしてもいい
- いつ始まって、いつ終わるのかがはっきりしない
- 誰と・どこで・どう過ごせばいいかが曖昧
- 刺激(音・人・物・情報)が多く、注意が散りやすい
ここには、自閉症の学習スタイルも深く関わっていると考えられます。
- 中枢性統合の弱さ:全体像をつかみにくい
- 注意の問題:必要な情報に焦点を合わせにくい
- 実行機能の弱さ:計画して段取りよく進めにくい
そのため、余暇のように自由度が高く刺激の多い場面では、
「どう過ごせばいいのか」「次に何が起こるのか」が分かりづらく、
見通しの形成や気持ちの切り替えが難しくなりやすいのです。
その結果、
- 何を選べばいいか分からず困ってしまう
- 同じ行動を延々とくり返してしまう
- 不安や落ち着かなさから、自分なりの厳しいルールや儀式が増えてしまう
といった状況につながることもあります。
「自由」と「放っておくこと」は違う
ここで大切にしたいのは、
余暇=“その人なりの楽しみ方” が安心して発揮できる時間
にしていく、という視点です。
それは決して、余暇の時間をすべてスケジュールで埋めることでも、 好きなことを禁止することでもありません。
そうではなく、
- 何をする時間なのかが、目で見て分かるようにする
- いつ終わるのか、どこまで頑張ればいいかを見える形にする
- 本人が選べる楽しみ方を、分かりやすい選択肢として提示する
- 刺激が多すぎてしんどい場面では、環境を少し整える
といった、「余暇を見える形で整えること」です。

だからこそ、サード八王子では、余暇の時間も“構造化”で整え、
① 見える → ② わかる → ③ 楽しめる
という流れを大切にしています。
「見える」ことで「わかる」状態になり、
「わかる」ことで、はじめて安心して「楽しめる」時間に近づく。
その積み重ねが、余暇支援の大切な意味だと感じています。
これは「余暇を管理するため」ではなく、
本人が自分のペースで余暇を選び、味わえるようにするための支援です。
余暇を支援することは、「その人らしさ」を支えること

余暇の支援というと、
- 「そこまで支援する必要はあるの?」
- 「全部決められた余暇なんて、かえって窮屈では?」
といった心配の声もあるかと思います。
しかし、実際の支援現場を見ていると、
むしろ見通しや環境が整うことで、はじめて一歩踏み出せる活動がたくさんあります。
- 見通しがあるから、新しい活動にチャレンジできる
- 時間やルールが見えるから、自分のこだわりとうまく折り合いをつけられる
こうした積み重ねは、まさに 「その人らしさ」を育てる土台づくり だと感じています。
次回のブログでは、サード八王子で実際に行っている余暇支援の工夫 をご紹介します。 写真や具体的なエピソードを交えた「実践編」としてお届けする予定です。
そんなサード八王子の支援のかたちを、次回も読んでいただけたらうれしいです。

サード八王子では、
自閉症のある方が安心して暮らし、余暇を含めた生活全体を“自分らしく”過ごせることを大切にし、
日々の支援に取り組んでいます。
サード八王子の支援の考え方に共感してくださる仲間を募集しています。
■ 募集中の職種
- 世話人(正職員)
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- 夜間支援員(パート)
未経験の方も大歓迎です。
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